快晴の12月11日、ひまわり種まき隊の「落葉拾い国民運動」は、予定通り、福島県南相馬市西部の里山で行われました。実際にやってみると、山林の落葉拾いの現場は葉が広く分散しているためか、放射線量が思ったよりも低いことが分かりました。斜面での作業もそう難しいものではなく、落葉に含まれた放射性物質の回収は大いに可能性があることが確認できました。
収穫
その1:
落葉には確かに多量の放射性物質が含まれていることが判明した。今回の催行現場、南相馬市馬場字川原田の広葉樹林の落葉は、事前の放射線量測定では5万8000ベクレル/1キロという数値が出ていた。これを大量に集めれば莫大な放射性物質を回収することができることを意味する。
その2:
これだけの放射線量があるというので、手作業による落葉拾いの危険性を心配したが、作業に入る前に測定してみると地表の放射線量は2マイクロシーベルト/h前後にとどまっていた。枯れた落葉は軽くて、1枚1枚の葉の線量はとても小さい。それが広い範囲に散っているために、放射線量も拡散しているのだと考えられる。隊のコンサルタントの放射能取扱資格者が予測していた通りで、手作業による落葉拾い国民運動は決して不可能ではないことが分かった。もちろんバキューム方式で吸いとれば効率的に集められるだろう。
その3:
落葉に含まれている放射性物質は、どのように蓄積されたのか。地元の農家から、原発事故が起きた3月12日のころはまだ新芽はそれほど出ていなかったのだから、木が吸い上げて、それが葉にたまって落葉しているのではないか―との指摘があった。文部科学省の委託研究報告(6−8月に実施)は、空から降ってきた放射能が雨とともに葉に付着したとのニュアンスが強い。木々が吸い上げているとすれば、今後の山野の除染戦略にもかかわるのでよく調べてみる必要がある。
(写真左 山中で落葉を拾うボランティアたち 写真右 落葉の減容実験装置)
落葉拾いのコンボイがゆく
大震災と原発事故から9ヶ月目のこの日午前、南相馬市の馬場公会堂に集合したボランティアたち16人は、地元世話人代表の小澤洋一さんから事前説明を受けた後、10台ものコンボイ(車列)を組んで目的の山に向かった。日本海側は雪だというが、太平洋に面した浜通りの空は真っ青に晴れている。
現場は、くぬぎをはじめ様々な広葉樹が生えている平野部に近い里山だ。放射能さえなければピクニックでもしたいほど美しい。このところの寒さで葉は紅葉が終わり、ほぼ3分の2は落葉している。各自、セシウムを吸いこまないよう、厳重にマスクをかけ、ゴム手袋をはめ、長靴をはくなど重装備で落葉拾いに取りかかった。ひまわりの種まき隊のボランティアたちは何度か、畑仕事をしているので手抜かりはなく、それぞれ完璧だ。
落葉をいれる袋には裂けたりしないよう今回は飼料の厚手のビニール袋を使った。1時間半も山肌にとりついて拾うと、袋は100個近くになり、トライアルにはほぼ十分な量になった。日だまりでの作業でボランティアたちは汗をかいている。
集めた落葉は、別の畑に運んだ。そこにはグラスファイバーの風呂やコンポストを利用した容器、さらには即製の発酵桶が並んでいる。そこに袋から落葉を入れ、市販の肥料作りの発酵剤を数種類、ふりかけながら踏みつけた。市販の安価な発酵剤のうちどれが有効かを見極め、数カ月後にはどう減容するかの実験である。
ひまわりの種まき隊は、地上に降った放射性物質を回収しない限り、悲劇は終わらないと主張している。だから本来はこうした落葉も燃料にでもしてセシウムを取り除くフィルターで除染したほうがいいのだが、現実が追いついてこない。しかしセシュウムを回収する技術開発は目下、様々に行われており、春ごろには最もいい方法が見つかるかもしれない。放射能汚染物質の一時保管場所も間もなく決まって、そこに捨てることが出来るかもしれない。
家庭用除染コンポストの勧め
畑のなかのコンポストはそれまでの苦肉の策だが、もしかすると放射性物質を回収するための切り札に躍り出るかもしれないと秘かに考えている。見て見ぬふりをしようが、顔をそむけようが、放射性物質は福島県のみか、関東地方一帯にまき散らされてしまった。千葉県の柏、流山、松戸のみならず、横浜でも1マイクロシーベルト/h近い地域がある。汚染地帯での野菜の栽培も行われている。緩慢なる人体実験が福島県民200万人のみか、関東圏3000万人によって行われているといっても過言ではない。
ひまわりの種まき隊は、植物による除染を提唱している。汚染家屋を高圧水で除染したところでそれは周囲に吹き飛ばすだけのこと、自分の家の前のごみをはいて、他所の家の前に捨てるに似ている。子どもだって分かる理屈だ。その点、植物はたとえ少しずつでも放射性物質を吸い上げてくれる。ひまわりは栽培植物のなかでは一番の働き者だが、家のまわりや田畑に生えている雑草のなかには放射性物質を取り込むものが少なくない。
これを各家庭が、日ごろの掃除や草むしりのときに家庭用のコンポストに捨てる。家や道路、公園の落葉も放置することなくコンポストに入れる。野菜などの分解装置であるコンポストの下部を放射能除染用にふさいたものを一般家庭に普及させて、少しずつでも回収することが結局は放射能問題を早く終結させる早道ではないのか。放射能を吸った水田の稲の根も回収すべきだろうと私たちは話し合っている。
それによって少しずつでも周囲の環境から放射性物質を回収するよりほかに、原発事故の悲劇を終わらせる方法はない。さもなければセシウムの半減期は30年だから、放射能騒ぎは30年、50年と続く。セシウムは雪のように消えてなくなることはないのだから。
落葉拾い国民運動のトライアルは様々な収穫を得て成功裏に終わり、バトンは各市町村に渡った。残る課題は落葉の捨て場の確保とボランティア集めだが、ボランティア集めは次第に難しくなっている。
各地のシルバー人材センターに有料でお願いすることはどうかーというひまわりの種まき隊の問合せに、林野庁の江出俊夫研究・保全課長は「それが必要ならば、地方自治体がその費用を計上して落葉拾いによる除染の企画をだせばいいでしょう」と語っていた。あとは市町村の首長と議会に、住民を放射能被害から守る気があるかどうかにかかってきたといえる。 (文責 代表 横山三四郎)
*今回の落葉拾いでは、放射線量の測定にカタログハウス「通販生活」社会貢献室(渋谷区代々木)から1週間、拝借した「サーベイメータ 日立アロカメディカル TCS−172B」を使いました。ありがとうございました。 |